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聞香記ー41  聞香稽古 曽根崎心中-2



25日から数日、旅に出かけました。

倉敷の古い情緒のある町を歩きながら、
思い出していたのは、2月の稽古「曽根崎心中」です。

鐘ばかりかは、草や木も空もなごりと見上ぐれば、
雲心なき水のおも、北斗はさえて影うつる、
星の妹背の天の河、梅田の橋を鵲(かささぎ)の橋と契りていつまでも、
我とそなたは夫婦星、必ず添ふとすがり寄り、
二人の中に降る涙、川の三嵩もまさるべし。
                  『曽根崎心中』近松門左衛門



そして、徳兵衛、お初の胸の内が香りとなって・・・・・

麹町の「 聞香稽古」では、

伽羅は、胸に秘めた恋の想い。
真南蛮は、つらき世間の風。
佐曾羅は、こがれし恋。
寸門多羅は、心中への決意。





香に聞き

 
鐘の音に 導かれしは 今生の
   別れをかわす 黄泉の道かな
                  淑子



 
ころげつつ 行く暗闇の 冥途道
   浄瑠璃の謡 なんと哀しき
                  敦子



 
いとほしや 一途の恋に 泣くお初
   いじらしきこと 限りを知らず
                    羑代



 鵲(かささぎ)の
渡せる橋に 置く霜の
   ふみしめ歩む 夢観世音
                    巴









| 香りの冒険者 | 19:56 | comments(0) | trackbacks(0) |
聞香記ー40 香席 曽根崎心中
 



12日(日)、水の和聞香体験講座にて

六義園心泉亭において、香木がしずかに香りました。

 
近松の 応と答(いら)えり いのちの香
                         香奈

主題“曽根崎心中”の作者近松門左衛門。
香席をつつみこむ香りに、近松が
まるでそこにいて応えてくれているようでした。

香り立つ伽羅・・・・・、そして、羅国、佐曾羅、寸門多羅・・・・・

それは、いのちの香り




げにや安楽世界より、今この娑婆に示現して、
われらが為の観世音・・・・・
と、「曽根崎心中 付り 観音廻り」



天満屋での心中合意では
「さのみ利根にいはぬもの、徳様の御事、幾年なじみ心根をあかしあかさし中なるが、それはそれはいとしぼげに、微塵訳は悪うなし。頼もしだてが身のひしでだまされさんしたものなれども、証拠なければ理も立たず。この上は徳様も死なねばならぬ品なるが、死ぬる覚悟が聞きたい」と独り言になぞらへて、足で問へばうなづき、足首とって喉笛撫で、自害するとぞ知らせける。「おおそのはず、いつまで生きて同じこと、死んで恥をすすがいでは」




| 香りの冒険者 | 21:52 | comments(0) | trackbacks(0) |
聞香記ー39 香席ー2 『曽根崎心中』
江戸学者田中優子さんの本に『江戸の恋』があります。
そこには、次のようなことが書かれています。

江戸には恋があふれている。小説、音曲、芝居、浄瑠璃、浮世絵、黄表紙、洒落本・・・・・・そして、好色であることが誉れ高く、人が粋に通じ、人情にみちたこの時代の恋は、どこか淡く切なく、辛い覚悟を秘めている。





そして、近松門左衛門作『曽根崎心中』に、当時の人々が熱狂したわけを、

これが「恋の手本」とされるのは、何と言っても、二人ともが現実世界での有利な条件をすべて蹴って、恋を貫くからである。
「現実世界」というのは、甘やかな顔と過酷な顔とを合わせ持っている。
自分を折り曲げ、周囲に合わせ、年長者、実力者の言うことを聞き、友達を疑い、あるいは適当に利用することができれば、この世はあまやかな顔を向けてくれる。
しかし自分の思いを貫き、それが世間の意志と対立するようなことにでもなれば、過酷な顔を向けてくる。
その苛酷さは「金」という単位を持っている。
金を持つことができるかできないかで、恋を貫けるかどうかまで、変わってしまうのだ。
近世の大阪の人々がこの浄瑠璃の登場に熱狂したのは、時代が金を中心に動き始め、人間としての意志までも金によって動かされることに、日夜苦しみを感じていたからに他ならない。

よくわかります。
そして、お初・徳兵衛の心中に「恋」と男の「一分」、その面目を立てようとする若き純粋な心を、涙ながらに、描いた近松門左衛門の作家魂に感じ入ります。
その作家魂の中にあるのは、辛い時代状況に対するいいにいわれぬ激しい怒りと、その中で翻弄されて生きる人々に対する深い慈しみの情でしょうか。


つづく



| 香りの冒険者 | 11:56 | comments(0) | trackbacks(0) |
聞香記ー38 香席
12日の日曜日、よく晴れて好天気。
六義園にて水の和聞香体験講座。



香道具を持ってのんびりと出かけました。
部屋に入ると暖房が適度に効いていてほっと一息。



資料を用意。
今日の主題は、近松門左衛門作『曽根崎心中』です。
香道具を並べ終わる頃には、曽根崎心中のお初・徳兵衛の気配が・・・・・

近松は、まずは「観音廻り」で、わずか一カ月前に心中したお初・徳兵衛の鎮魂を行い、浄瑠璃を観に来た観客の魂も鎮め、お初の美しい姿をまるで観音菩薩のように表現していきます。

げにや安楽世界より。今この娑婆に示現して。
われらがための観世音。・・・・・略
札所札所の霊地霊仏、廻れば罪も夏の雲。
暑くろしとて駕籠をはや。おりはの乞目三六の。
十八九なるかほよ花。今咲きだしの。初花に笠は着ず共。・・・・・

色で 道引き 情けで教え 恋を菩提の橋となし
渡して救ふ 観世音


(資料:『曽根崎心中・冥途の飛脚』近松門左衛門作 袴田善雄校注 岩波文庫)






| 香りの冒険者 | 17:41 | comments(0) | trackbacks(0) |
聞香記-37 聞香稽古『曽根崎心中』2

seicho

浄瑠璃「曽根崎心中」の初演は、元禄16年5月7日。
まさに元禄時代が終焉を迎えようとしていたときです。
当時の世相はどのようなものだったのでしょう。

五代将軍綱吉の治世で、元禄文化はおおいに花開きましたが、同時に社会の様々な場面で幕藩体制の矛盾が現れはじめていました。
その象徴は、前年の元禄15年12月の赤穂義士の吉良邸討ち入り事件です。
そのような社会の動きの中、世の中の多くの人々が将来への希望を失い、不安な心をもって生きていたようです。
そして、経済的に行き詰った若者たちは、生きる望みを失って心中事件を起こしていました。それらの心中事件を集めた『心中大鑑』が刊行されたのは、『曽根崎心中』初演の翌年でなのです。


seicho

人々の生活はよほど圧迫され、はけ口のない息苦しさに人々はあえいでいたとしか考えられません。

つらい世の中、何がそうさせていたのでしょうか。




 
| 香りの冒険者 | 22:20 | comments(0) | trackbacks(0) |
聞香記ー36 聞香稽古の主題『曽根崎心中』
 
seicho

元禄16年(1703)、5月7日、大阪竹本座で世話物浄瑠璃『曽根崎心中』の初演。
それより1ヶ月前の4月7日、天満屋抱えの遊女はつと、醤油屋の手代徳兵衛が心中をしていました。

ほんの1ヶ月前に起こった心中事件、
その悲しい出来事を連想するような浄瑠璃『曽根崎心中』近松門左衛門作。

その最後の言葉は、

苦しむ息の暁の、知死後につれて絶え果てたり。
誰が告ぐるとは曾根崎の 森の下風音に聞え、とり伝へ、
貴賎群衆の回向の種、未来成仏疑ひなき、
恋の手本となりにけり

お初、徳兵衛の恋、その極限の姿を、
近松は、

恋の手本となりにけり

と締めくくったのです。


seicho

その真実は・・・・・


| 香りの冒険者 | 21:41 | comments(0) | trackbacks(0) |
聞香記ー35 立春 聞香・準備の日

seicho

今日は立春です。
昨日より少し陽射しがあたたく感じられます。
朝から香の会の資料を作りながら、
近松門左衛門作・曽根崎心中のCDを聴いていました。

『義太夫 近松門左衛門 曽根崎心中 
天満屋の段 道行 天神森の段』です。 
浄瑠璃 五世竹本織大夫 三味線 鶴澤清治 鶴澤清介

この世の名残、夜も名残。
死ににいく身をたとふれば
あだしが原の道の霜。
一足づつに消えて行く、
夢の夢こそ哀れなれ。


何度も何度も聴きつづけました。
お初徳兵衛の道行・天神森の段。
夕方、暮れていく空を見上げながら、
おもわず口ずさんでいました・・・・・

あれ数ふれば暁の、
七つの時が六つ鳴りて、
残る一つが今生の、
鐘の響きの聞き納め。
寂滅為楽と響くなり。






人の命とは、恋とは・・・・・





| 香りの冒険者 | 20:45 | comments(0) | trackbacks(0) |
聞香記ー34 伊豆の海
 

伊豆へ。

プチホテルに泊まりゆっくりと静かなひと時、
持参したのは、近松門左衛門や、江戸に関する書物。
今月の聞香稽古の主題は「曽根崎心中」近松門左衛門作なのです。



日本列島にこの冬一番の寒気がおしよせて、寒い日々が続いています。




ホテルの前の道に、猫。
おい兄弟、
元気かな!



| 香りの冒険者 | 14:45 | comments(0) | trackbacks(0) |
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