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聞香記ー28 聞香・一休禅師
 毎日寒い日が続いています。



一休禅師の心を香に聞く聞香稽古も無事終わりました。

 
酬恩庵一休寺小冊子の表紙より 発行:酬恩庵一休寺 

有露地(うろじ)より 
無露地(むろじ)へ帰る 一休み(ひとやすみ)

雨降らば降れ 風吹かば吹け

聞香一休禅師の証歌は、この一休禅師の歌。

その意味するところは、


「煩悩にさいなまれてくるしみもだえる心境から、

それが消えてなくなるあいだの、
ほんのわずかなひととき、

そこに雨が降ろうと風が吹こうとよいではないか。
生れ落ちて死ぬまでのほんの一瞬、
そこに何が起ころうと、
それを前面的に受け入れるのだ」
         『一休 風狂の精神』西田正好著より

組香ではなく、香に一休禅師の心を聞きました。香りに心身をゆだねて想像力を思う存分楽しんでみたのです。


聞香一休禅師

一、 証歌

    有漏地より無漏地へ帰る一休み

     雨降らば降れ 風吹かば吹け

二、香組

六国五味うちまぜたく


三、聞法

 香に聞く 一休禅師の心



水の和聞香講座では、香元が火味を強く設定したのでしょう。
香は渋く強く香りました。それは風狂の人生を大胆に生きた一休禅師の香りでした。

香りに聞きて、一休に惚れた隆司さんは、男っぽく詠いました。

 俺もまた 有漏地無漏地は 晴ればかり 
   肩くむ人は 一休禅師


香奈さんは、香りに禅の修行と境地を感じて

 とらわれず 聞かんとすれば 逃げてゆく
  香のいのちは 香に聞けとや






虎の門香の会では、
忙しい事業活動の合間をぬって香を楽しんでおられる秀悟さんは、本拠地の広島と東京を往復の生活。そこで詠まれたのは、

  江戸地より 安芸地に帰る 一休み
   雨降らば降れ 風吹かば吹け






麹町庵・香の会では、やさしく慈悲深く、しかも深い魂の息づきが感じられる香りでした。幸せにつつまれるような安堵感があり、もしやしたら一休とはそのような人だったのかもしれないと思わせる香りです。世の悲惨さにもだえ苦しむ中に、極楽浄土がみえてくるような気がするのです。

淑子さんは一休禅師の心に抱かれ、香に聞いたのは母の面影でした。

 一服の お茶の香りに 一休み
    母の面影 いのちそのもの 

 

みちよさんも、おなじことを感じられたようでした。
 
 やすらかに まどろむ夢は 水仙の
   香につつまれ 母の面影



敦子さんは香りの中に一休禅師の人生を思う心を感じられたのでしょう。

 借りおきし いのちを返す 時を待ち
  一服の茶に さあ一休み



巴さんはさまざまな日々を香りに思い出されて、

 山茶花の 香りめぐりて 風よ吹け
   一休みして 心やすらぐ




seicho

今日も寒い日でした。
旅に出て見た凍える山。
今年もあとわずかです。
お体に気をつけてお過ごしください。






| 香りの冒険者 | 23:03 | comments(0) | trackbacks(0) |
聞香記ー27 聞香・一休禅師:3
 
seicho 模写


一休禅師は、後小松天皇のご落胤として、応永元年(一三九四)京都の嵯峨野に生まれたとわれます。後に、一休は次のような歌を詠んでいます。

 天の沢東の海を渡り来て
  後の小松の梢とぞなる

幼名千菊丸。母は藤原氏の出身。
父の顔を見ることもなく育ちます。

六歳で洛西の禅寺・安国寺にあずけられ、
周建(しゅうけん)と名付けられます。

十代の半ばに、次のような詩を詠みました。

 

吟行の客袖、幾時の情ぞ、

開落百花、天地清し。

枕上の香風、寐(び)か寤(ご)か、

一場の春夢、分明ならず。


(花見の客たちはしばしの間うっとりとし、
開花する百花はすがすがしく天地を飾っている。
家に帰って寝たけれど、
花の芳香は夢かうつつかなお匂うように思える、
といった意味です。
『一休 風狂の精神』西田正好著より)

花の香りに酔う少年一休。
みずみずしい若き日の感性です。
いいですね。


つづく


seicho

今日も寒い一日でした。
これからますます寒くなります。
花は一冬その命をじっと秘めて
春を待つことになるのですね。


 

| 香りの冒険者 | 17:56 | comments(0) | trackbacks(0) |
聞香記ー26 聞香・一休禅師:2
 
seicho 模写

 今月の主題は一休禅師。

講談社現代新書『一休 風狂の精神』西田正好著では、その表紙に
次のように著者の言葉が書かれています。

「正長の一揆、応仁の乱などの血なまぐさい地獄の季節に、一休の八十八年の生涯はあった。
民をかえりみず享楽にあけくれる為政者。権威に追従する禅林。金閣や銀閣に象徴される華やかな文化の裏側に、飢饉や悪疫の流行という深刻な社会不安もあった。
女犯・男色・飲酒・肉食という僧侶としてあるまじき彼の破戒は、偽悪のかたちをとったはげしい時代風刺・宗教批判でもあった。(略)」

 


seicho

じっくりと歴史をみつめてみよう。
この建物がつくられた時代に一休も生きていた。

その呼吸を感じてみよう。



つづく


seicho

追伸、
今日は、朝からしとしと冷たい雨が降り、寒さが身にしみてきました。一休禅師について書かれた本を読みながら、想像をたくましくして、目の前に一休さんの姿が見えてくるようにしようとするのも楽しいことです。




| 香りの冒険者 | 20:55 | comments(0) | trackbacks(0) |
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