晟聴(せいちょう) 〜香りの旅〜
〜香道研究家・伊達晟聴(だてせいちょう)が綴る香りの日々〜
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2011.09.12 Monday
author :
伊達晟聴
聞香記ー13
昨日は水の和の聞香体験講座「物語る香り 日本のこころ」が六義園 心泉亭で催されました。
主題は、「平家物語・敦盛最後」。
この会を主催されている高須香奈さんがフェイスブックに載せられたものを転載させていただきます。
☆
汀打つ兵の魂(つわもののたま)笛の声
水の和の聞香(もんこう)体験講座「物語る香り 日本のこころ」
うた―日本人の生きる勇気を想うー
http://miznowa.jp/event/monkoukouza/
シリーズも5回目、初回の神話・古代からはや源平の合戦となりました。
相変わらず主催がばたばたしているので、本日は伊達先生が御自らお写真を撮ってくださいました。
聞香は、1つのテーマ(=主題)を設けてお話を聞き、皆でテーマを心に浮かべながら香炉を回し、香りと向き合う静かな遊びです。
水の和の聞香は毎回初心者の方向けでもあり、伊達先生の主題のお話とともに、
6種類ある香木すべて〜
伽羅(きゃら)、
羅国(らこく)、
真南蛮(まなばん)
真那賀(まなか)、
佐曽羅(さそら)、
寸門多羅(すもたら)〜をお出しします。
香木の香りを5つの味(甘辛苦酸しおからい)に例え、六国五味(りっこくごみ)と申しますが、これらの香りが場に溶け合い、ドラマをつくるのです。
こうしてご参加の一座のみなさまと、その主題の宇宙の一期一会を楽しむのが聞香です。
主題については毎回各々の時代に生きた勇気ある人物を取り上げています。
その中でも、特に主催者権限で、私の好きな人物を取り上げています。
本日は平敦盛でした。
みなさん、中学の古典の教科書に載っていたの、覚えていますか??
実は平家物語は源氏物語同様、私はあまり好きではありませぬ。苦笑
ただ敦盛は、中2のころから一目惚れ(一聞惚れ?)でした。
熊谷次郎直実の腹の下で名乗るを拒む16,7の花のかんばせ。
「早く首をとれ!」と何の惜しげもなく叫ぶ様。
首を掻いた後の直実に笛を突き付けて、昨夜の笛の音を一生残し去っていく様。
今日、香りに聞いて、ずっと私の脳裏に浮かんでいたのは、
源平入り乱れ敦盛と直実が「むずと組んでどうと落」ちた砂浜。
直実に残した、あの汚れなき「疾走感」に惚れていたのだと香りが教えてくれました。
そうむしろ斬られたのは、直実のほう。
己で己の魂を斬って、髪剃り落とし、法然の弟子となったのでしょう。
聞香は極めて自由です。
香りに聞くと、ご参加のみなさまも、香りひとつひとつに、こころのままに景色や心情を追いかけ、ご感想を述べられます。
たとえば「体調のせいか今日は不思議とすべての甘さが際立って感じたけど、それが逆に青年らしさに感じられたりしました」という雅なご感想などなど。。
伊達先生も曰く。
「生死に対して1つの結論がでていないとああいう死に方はできない。
年齢は関係ない」
ばたばたと命を散らす武士の姿を脳で見ながら
直実も首の代わりに波でも打てたらよかったのにねと、
ただことばを置いただけの五七五が冒頭のうたです。
ひさびさに詠んだので伊達先生がとても喜んでくださいましたので、
忝いお写真に感謝申し上げつつ、残させていただきます。照
…意図とうたの世界が若干反れてるけど(笑)音や景色はそんなに悪くない?
聞香体験講座・―日本人の生きる勇気を想うーは、
3/11を機に、始めさせていただいた企画でした。
いたらぬ私はまだまだ東北へ香りを届けることはかないませぬが、
失われた多くの御霊、まだ癒えぬ海と大地と多くの方々のこころへ向けて、
これからも祈りとともに香りが運ばれる様を想い浮かべ、
遠く関東より、みなさまとの一期一会を重ねて参ります。
合掌
☆
以上、高須香奈さんのメールから転載させていただきました。
ありがとうございました。
当日の和菓子は平家物語の趣が感じられる素敵なもので、
美味しさも格別でした。
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