2019.05.23 Thursday
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花はさかりに、月はくまなきをのみ見るものかは。
雨にむかひて月を恋ひ、
たれこめて春の行方知らぬも、
なほあはれに情ふかし。
ましてまして悟る思ひはほかならじ
わが嘆きをばわれ知るなれば
いとほしやさらに心の幼びて
魂切れらるる恋もするかな
尋ぬとも風の伝(つて)にも聞かじかし
花と散りにし君が行へを 西行
久しぶりに西行法師を主題として香りを楽しみました。その人生と歌の数々は語っても語りつくせない多くのものがあります。
芭蕉の言葉が思い出されます。
ーー西行の和歌における、宗祇の連歌における、雪舟の絵における、利休が茶における、その貫道するものは一なり。しかも風雅におけるもの、造化にしたがいて四時(しいじ)を友とす。(略)造化にしたがひ、造化にかへれとなりーー
天地の根源の力、そして、四季のめぐる力、
つまりは自然のもつ力をかんじとって生きた人たち。
香りの力もそこにあるのでしょう。
みなさん西行大好き、稽古の時間はあっという間に過ぎてゆきます。
それぞれに選ばれた香木が香ります。
伽羅、羅国、真南蛮、佐曾羅、寸門多羅の香です。
吹き荒れる 嵐 こころの うちそとに
身のおきどころ さがしさがして 敦子
花を訪ね あくがれいでて 風となり
心月輪 ゆれる羅国や 羑代
いとまなき 身をときはなつ 寸門多羅の
香にみそなわす 花の歌人(うたびと) 良子
散りし花 心にしまい 旅立ちぬ
思い鎮まり 行方さだめん 淑子
韻々と 魂切れらるる そのときに
花の下にて こころ和めん 巴