今月の「たまゆら香の會」は、『源氏物語・藤裏葉』が主題です。
3月20日(金)祝日に上野国立博物館内 九条館で催されます。
詳しくは、
「たまゆら會」をご覧ください。
花利休の「香の会」においても、
『源氏物語』を、香りによって楽しもうと思います。
主題は「桐壺」です。
以前に書いたものを思い出して見ましょう。
いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひたまひける中に、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり。
はじめより我はと思ひあがりたまへる御方々、めざましきものにおとしめそねみたまふ。
『源氏物語』の巻頭文です。
この数行によって読者を引き込んでいきます。
当時、読者は女御、更衣たちです。
あら、自分たちのことかしら、ええっ、そんなに身分が高くないけれども、帝のご寵愛を受けてときめいているって・・・。
まわりの人々の嫉妬心が何を起こすかわからない。
みんな興味津々、もう、ドラマの幕開きです。
それは、光源氏の父と母の恋の悲劇のはじまりです。
『源氏物語』で詠われる歌は、およそ800首ありますが、
その最初のものがこの卷で詠まれます。
それは、源氏の母・桐壺更衣の悲しい歌。
俵万智著『愛する源氏物語』によりますと、
帝「限りあらむ道にも後れ先立たじと契らせたまひけるを。さりともうち棄ててはえ行きやらじ」
(定められた死出の旅立ちさえ、私たちは共にと誓ったではないか。よもや私を見捨てては、行かれますまいね。)
この言葉をうけて、息も絶え絶えに、更衣が返したのが次の一首と、言葉です。
かぎりとて 別るる道の 悲しきに
いかまほしきは 命なりけり
(運命とはいえ、あなたと別れてゆく道の悲しさ。私が行きたいのは、命の生きるほうの道なのに・・・)
死の間際になって、源氏の母、桐壺更衣は、生きたいと心の底から思ったのです。
この、生きたいと思うエネルギーがもっと以前に彼女の中に激しく燃えていたならば・・・・・、
周囲のいじめにも耐え抜いて病にならずにすんだかもしれない・・・・・。
香木は6種。
六国五味を、すべて聞いてみたいとおもっています。
どのような香りにつつまれるでしょうか。
3月の、
「四季おりおり 文化の香り・さんぽ道」も、どうぞご覧になってください。
今回は湯島天神です。