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アルチュール・ランボー
三ヶ月ほど前、香の仲間と食事をしているとき、これからの稽古の主題が話題になりました。
ふっと青春時代にもどり、フランスの詩人アルチュール・ランボーはどう、なんて言ってしまいました。
すると、「それがいいです」と声が上がりました。
えっ、彼女もランボーだったんだ。

青春はひとつの出発です。

ランボーに出発という詩があります。
小林秀雄訳では、
見飽きた。夢は、どんな風にでも在る、とはじまる詩。
では、ランボーの心をテーマに香りを楽しもう、と思いましたが少し時間がたってしまいました。
その前に、石川啄木をテーマに稽古です。
というのもフランスの詩人の人生を語るのに自分の心になにかが宿る時間が必要でした。
ランボーに親しんでいたのは高校から大学時代、すこし時間を巻き戻さなければなりません。
ところが昨日、西行のことを考えているとき、気づいたのです。
ランボーが見者の意識と言っているものが西行にもあったのではないかと。
「詩人はヴィジョンを見る人でなくてはならない。人はヴィジョンを見るべく心がけるべきだ。・・・」

心なき身にもあはれはしられけり
鴫立沢(しぎたつさわ)の秋の夕暮れ


西行がヴィジョンを見たと思える歌です。
もしかしたら彼はいつもヴィジョンを見ていたのかもしれません。
そう想うと西行とランボーが同時に胸の中に飛び込んできました。
考えよう、考えよう。
真言を唱える如く歌を詠み、この世の真の姿を求めて生きた西行とヴィジョンを見ることを求めたランボーとを。

地獄の季節
地獄の季節
ランボオ, J.N.A. Rimbaud, 小林 秀雄

| 香りの冒険者 | 18:04 | comments(0) | trackbacks(0) |
石川啄木の故郷
岩手県出身の知人がいます。
彼の少年時代に口ずさんでいたのは啄木の歌だそうです。

やはらかに柳あをめる
北上の岸辺目に見ゆ
泣けとごとくに

不来方のお城の草に寝ころびて
空に吸われし
十五の心


想像できます。
知人の少年時代の面影が。
その彼が大人になって想う歌。

己が名をほのかに呼びて
涙せし
一四の春にかへる術なし

そして、今

こころよき疲れなるかな
息もつかず
仕事をしたる後のこの疲れ


知人は香りを楽しむ仲間。
仕事の疲れもこころよきこと、香を楽しむこともこころよきことでしょう。

啄木の故郷は、岩手県・渋民村(現・玉山村)。

| 香りの冒険者 | 11:17 | comments(0) | trackbacks(0) |
石川啄木
いつ手に入れたのだろう。
啄木の歌集『一握の砂・悲しき玩具』金田一京助編。

高きより飛びおりるごとき心もて
この一生を
終るすべなきか


「此ァ面白い、ふン此の刹那の心を常住に持することが出来たら、至極ぢゃ。面白い処に気が着いたものぢゃ、面白く言ひまはしたものぢゃ」。

歌集の序。
序は、藪野椋十(やぶのむくじゅう)が書いています。
明治四十二年に「東京朝日新聞」に校正係として入社したとき、社会面で啄木選の歌壇を設けた人です。

高きより飛びおりるごとき心もて

そう、この刹那の心を常に持っていたなら人生は面白いに違いありません。

啄木の心に近づくため、彼の数々の歌に親しんでみよう。
香りに聞いてみよう、その心を。
聞香・啄木です。

一握の砂・悲しき玩具―石川啄木歌集 (新潮文庫)
一握の砂・悲しき玩具―石川啄木歌集 (新潮文庫)
石川 啄木,金田一 京助

| 香りの冒険者 | 20:28 | comments(0) | - |
聞香主題
昨日の稽古は来週に持ち越されました。
今日は今までの聞香の資料を整理しています。
多くの主題で香りを楽しんだことを思い出しました。

ヤマトタケルノミコト/聖徳太子・和の心 /額田王の恋 /持統天皇/鑑真/かぐや姫と帝/伊勢物語・業平の恋/空海/菅原道真/源氏物語・光源氏の人生/清少納言・枕草子/徒然草/方丈記/梁塵秘抄/親鸞/西行・花月香/明恵上人/道元/平家物語・与一のあっぱれ/一遍上人・遊行香/一休・風狂の禅/世阿弥/足利義政・日本の心/織田信長・夢幻香/利休への道/沢庵禅師/宮本武蔵/芭蕉・奥の細道/与謝蕪村/小林一茶/良寛の遊心/近松・曽根崎心中/雨月物語・浅茅が宿/本居宣長/武士道/坂本竜馬/宮沢賢治/与謝野晶子/石川啄木/竹久夢二・夢月香/山頭火/ 釈迦の想い/イエスの祈り/ムハンマドの情熱/西遊記・三蔵法師 救世の旅/荘子/星の王子さま/ベートーヴェン/ゴッホ/ジョン・コルトレーン、禅の慧能/臨済、その他。
心から楽しみました。
これも聞香(もんこう)の賜物です。

さて、来月の稽古の主題を考えよう。
ひとつは、石川啄木の「一握の砂、悲しき玩具」と思っていますが、もうひとつ別の主題を用意することにしています。
ゆっくりと音楽でも聴きながら考えるとしましょう。

| 香りの冒険者 | 20:13 | comments(0) | - |
今夜の稽古は男たちで松陰を。
虎ノ門のオフィス街。
インターネット関連の会社の会議室での稽古です。
聞香・吉田松陰。
どのような話題になるのか楽しみです。

今日大切にしたい松陰の言葉は、

「一死実に難し。
然れども生を偸むの更に難きに如かざる事初めて悟れり」安政六年四月頃野村和作宛

松陰の心を捉えた「死と生」の問題です。
目の前にせまる自覚された死。
「勢いに乗じ戦死等は易々に候へども、此の度の死は随分難く候」(安政五年四月二日)

そこで生まれた自覚は、死も難しい問題だが、よりよく生きることもまた難しい問題だということです。
「生を偸むの更に難きに如かざる事初めて悟れり」です。
それは悟りのようなもの。
死にむかっていてもよりよき生をみいだし、精一杯生きること。
世のためにやろう思ったことを実践するためには、人は死んではならない。

この時、松陰は藩の野山の獄に入れられていました。だが彼はその獄を出た後の行動計画を立てはじめるのです。
しかし、幕府の弾圧はますます激しくなり、江戸に送られることになったのです。

確かに、よりよき生を考え出し実践し、人生をまっとうすることは難しいことなのです。

死の自覚の深さに比して、生は重大な意味を持ってくる。
自分を振り返ってみても、よりよき生を生きているだろうかと。

今夜の主題は、香りに聞く、よりよき生となるでしょう。
| 香りの冒険者 | 11:25 | comments(0) | - |
たまゆら香の會・向島百花園内 御成座敷にて
今日の向島百花園には多くの人々が来ておられました。
園内には秋の七草が咲いています。
今まで何度も香の會で来ていますがこんなに沢山の人が、それも途絶えることなく来ておられるのを見たのははじめてです。
清楚で気品のある秋の七草は、万葉の時代も今も多くの人々に愛されるのですね。

香の會は午後1時から始まりました。
おもわず挨拶で、萩の話や秋の七草の話になってしまいました。

秋萩の 花咲くころは 来てみませ
命またくば 共にかざさん


良寛さんが、秋萩が咲くころになったらまた来てください、一緒に萩の枝をかざしてあそぶとしましょう、と貞心尼(ていしんに)さんにさし上げた歌です。

私たちも秋の七草を見ながら香の遊びに興ずることになりました。

川元ひとみ先生の「源氏物語」のお話。
吉村ゆらさんの艶やかな舞、演奏の杉浦聡さんのこれまた艶なる声と三味線の音にはうっとりです。

そして、休憩の栗ご飯。
ゆったりとした時間の流れの中、香席がはじまりました。

主題の歌:証歌は

 恋わびて なく音にまがふ 浦波は
     思ふかたより 風やふくらむ


香組みは、三つの香がそれぞれ三包、合わせて九つの香包みから三包選ばれたかれます。

聞きの名目は、源氏、朧月夜、藤壺、東宮、若紫です。

香元ゆらさんの優雅なお手前から香りでた香気は藤壺でした。

やはりそうだったのか、という思いです。
須磨に自ら流れていったのは、藤壺と中宮の身を案じてか。
と、香りに聞きながら納得しました。

皆様も香りを楽しまれたご様子です。
ありがとうございます、また参加しますとのことでした。

こちらこそ、ありがとうございました。
楽しかった、ありがとうといわれる時ほど嬉しいことはありません。
| 香りの冒険者 | 20:31 | comments(0) | - |
明日は「たまゆら香の曾」
明日は、向島百花園で「たまゆら香の會」
香道具の用意です。
香木、香包、総包、袱紗、小袱紗、乱箱(みだればこ)、内敷(うちしき)、地敷(ぢしき)、重香合、銀葉、名乗盆(手記録盆)、銀葉盤(試香盤、本香盤)、香筋建(きょうじたて)及び 火道具一式、重硯、筆、銀葉、名乗紙、小記録、香之記、香炉、香炉灰、香炭団、水屋用火道具一式、香盆、予備香灰、たきがら入れ、ゴミ袋等を揃える。

準備が終わるとほっとしてコーヒーを。
思い描くのは明日の主題「源氏物語・須磨」における源氏の運命だ。
最近巷では、源氏はどうして自ら須磨に流れていくことを決心したかと、あれやこれやと憶測して大変らしいのです。
真相をめぐって、あちこちでヒソヒソ話。
といっても、千年前の宮中の女房たちのことですが・・・。

そうです、もう心は源氏の世界へ。
文学と香りであらゆる時代を生きることができるのです。
ようするに、その時代の人になりきるんです。
想像力で!
香りは想像力のよきパートナーです。
| 香りの冒険者 | 13:33 | comments(2) | - |
昨日の聞香(もんこう)
稽古は、主題についてのお話から始まります。
聞香・吉田松陰。
松陰について、その人生、心を語ります。
一時間ぐらいでしょうか。
松陰の人生が心の中に入ってきたときが、香りに松陰の心を聞くときになります。

聞香のはじまりです。
香りのよりどころとなる証歌は、松陰が刑死する前に書いた遺書『留魂録』冒頭の歌です。
    身はたとひ 武蔵の野辺に 朽ちぬとも
      留め置かまし 大和たましい
    
稽古は香を当てる組香ではなく、香りに松陰の心を聞く聞法で行います。
選ばれた香木は三つ。
羅国(らこく)、真那賀(まなか)、佐曽羅(さそら)。
あまりないことですが、伽羅は選ばれませんでした。
選ぶのは参加者全員で選びます。

巴さんの香元で香炉が廻り始めました。
香りはそれぞれにとてもきわだった香り立ちをしていました。
みずからの身心が香りにつつまれ立ち上がってくる瞬間。
命に照らして香りに聞いていくのです、松陰の心を。

香たき終わりました。

香元の挨拶があって、香りに聞くことができた「松陰の心」を語り合います。
人それぞれの香りに対する想いがある。
人それぞれに人の心に対する発見がある。
人の心を究める感動。
お二人が歌を詠まれました。
松陰の歌にそえて、

   身はたとひ 武蔵の野辺に 朽ちぬとも
     留め置かまし 大和たましい
                   松陰 
     
   甘き濃き 琵琶の音(ね)響き いさぎよい
     野辺に置かれし 大和たましい
                   巴


香は甘く濃く香ったとのこと。
香りは巴さんの心の中に荘重な琵琶の音を響かせ、松陰の魂を哀悼し、野辺に置かれたその大和たましいを悼んでいるのです。


    みじかくも 祖国を思い 生ききれり
     忘れえぬかな 松陰の心
                   淑子


祖国の行く末を考え、生死を度外視してなすべきことをやりとげようとして、そのみじかい人生を生ききった松陰。
その松陰を思う心は、松陰の心に通じていくのです。

香満ちました。

そこには松陰の心と結ばれた充実感がありました。

淑子さんは、歌を詠むのは二回目でした。
あとは、お茶とお菓子を頂きながら、
みんなで歌をどうしたら詠めるようになるか、の話題でした。

花や月を詠んで有名な西行法師も、「馬鹿正直な拙(つたない)い歌から歩き出したいう事は、余程大事なことだと思う」とは小林秀雄の言葉です。
歌は詠おうとする意思から始まるようです。
| 香りの冒険者 | 08:16 | comments(0) | - |
今朝は晴れ 聞香・吉田松蔭。
昨夜の雨もすっかりあがりました。
今日は稽古に出かけます。聞香・吉田松蔭。

朝の光を見つめていると、松蔭の言葉が浮かび、心に沁みてきます。

楽しみの人に於ける在らざる所なし。山楽しむべく水楽しむべし、居楽しむべく行楽しむべし。富楽しむべく貧楽しむべし。生楽しむべく死楽しむべし。(略)憂楽の変は己に在りて物に在らんや。

そうですね。人はどこにいても楽しむことができる。それは自分自身のありよう、自分以外のものにあるのではないということだ。(資料:「松陰先生に学ぶ」)

今日の香りは!
松蔭の心に近づけるかな。

| 香りの冒険者 | 10:27 | comments(0) | - |
秋の七草
先日、ガソリンスタンドの前を通りかかった時、女郎花(おみなえし)と思える黄色い小花が大きな鉢植えに咲いていました。
「この花は・・・」おもわず訊ねました。
「あゝ、おみなえしですよ」
「よかった、いいものを見せていただきました」
互いに微笑んでの会話でした。

萩の花 尾花(おばな)葛花(くずばな) 瞿麦(なでしこ)の花 
女郎花また藤袴(ふじばかま)朝貌(あさがほ)の花


と山上億良は『万葉集』で詠いました。(当時、「あさがほ」とよばれたのは「ききょう」ではないかといわれています。)
この歌の前には、

秋の野に 咲きたる花を 指(および)折り
かき数ふれば 七種(ななくさ)の花

(秋の野に美しく咲く花々。指折って数えてみれば七草の花)

近くを散歩して見ることができたのは、あとは「萩の花」とススキの尾花(おばな)でした。
清楚で気品のある万葉の花をもっと見たいですね。

「秋の七草」については、
日本文化藝術財団のブログ「四季おりおり」
に書かせていただいています。
| 香りの冒険者 | 09:18 | comments(0) | - |
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