『源氏物語』学研:源氏物語画帖(住吉如慶筆・個人蔵)
今年の稽古は『源氏物語』でしめくくろうと思います。
今回は「賢木」の帖。五十四帖あるので最期はいつになるでしょう。
斎宮の御くだり近うなりゆくまゝに、御息所もの心細く思ほす。やむごとなく、わずらはしきものに・・・
光源氏の人生の岐路が語られはじめます。
六条御息所との野宮でのわかれも哀しいなかにも美しい絵のように。
はるけき野辺を分け入りたまふよりいとものあはれなり。秋の花みなおとろへつつ、浅茅が原もかれがれなる虫の音に、松風すごく吹きあはせて、そのこととも聞きわかれぬほどに、物の音ども絶え絶え聞こえたる、いと艶なり。
前回の葵の上との死別から、御息所とのわかれ、そして、最大のうしろだてであった父・桐壺院の崩御。慕う源氏の想いにおいつめられた藤壺の出家、かなわぬ心。気がかりな紫の上のこと。危険な恋である尚侍(朧月夜)との密会と露見。
う〜ん。どうなるのか光源氏は・・・。
彼の心を香りに聞いてみることにしました。
証歌は、源氏が尼となった藤壺をたづねていく場面にしました。
一、証歌
とけわたる池の薄氷、岸の柳のけしきばかりは時を忘れぬなど、さまざまながめられ給ひて、「むべも心ある」と忍びやかにうち誦じたまへる、またなうなまめかし。
ながめかるあまのすみかと見るからに
まづ潮たるる松が浦島 光源氏
「むべも心ある」とつぶやいた源氏の心の中を見てみたいのです。
もうひとつ、以前、藤壺のところにしのんで行ったときの歌も気になります。
逢ふことのかたきを今日に限らずは
今いく世をかなげきつつ経む 光源氏
この藤壺を思いつづける恋心とは・・・
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