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月影

昨夜の月は煌々としていました。

月を見ようとすると、いつも月から見られているような気がするのはなぜでしょう。

今夜は見えません。
雲の上の月はどんな表情をしているでしょうか。
想像するのもまた一興です。

芭蕉の一句
  
   月はやし梢は雨を持ちながら 
                    桃青

『鹿島詣』の中の句ですが、仏頂和尚の問いかけにこたえたもの、
和尚は、
  
   をりをりにかはらぬ空の月かげも
      千々のながめは雲のまにまに

  
と吟じて、これいかに

芭蕉はこたえるに、「月はやし」である。
雲間を疾走するかのような真如の月の光でこたえた。
さすがですね。

本来、天空に同じ光を放っている月も、雲の変化によってさまざまに見えます。
そうだなあ、迷いの雲には気をつけよう。(参考文献:『芭蕉文集』新潮日本古典集成)


今月の、聞香稽古の主題、与謝野晶子の「月」はいかに、

   こほろぎが銀の糸をば引き出だす
         月夜の空と思ひけるかな


こほろぎが月から引き出す銀色の糸のような光、あなたは見られたんですね。
どんなことがあっても、空は美しく澄んでいたんだ。(参考文献:『与謝野晶子』松平盟子著)

  
しかし、月は、いつも思い出させてくれる、足利義政の歌を・・・


  くやしくぞ過ぎしうき世を今日ぞ思ふ
    心くまなき月をながめて



10月2日に、向島百花園でお江戸睦「香の会」が催されます。
主題は『聞香・東山』。
義政のこの歌を証歌として香りに義政の心を聞くのです。

さて、この「くやしさ」は・・・

この「くやしさ」、「うき世」と「心くまなき月」は、ことによったら遠くのとおくまで、ぼくの心を連れて行くかもしれない。


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| 香りの冒険者 | 20:46 | comments(0) | - |
晶子の恋と、もう一つの恋


今月の聞香稽古主題は、与謝野晶子の人生ですが、もうひとつの人生にも興味を持ちました。
明治三十三年(1900)八月、晶子は夫となる与謝野鉄幹と出会います。
出会いは“恋”となります。
その時、親友・山川登美子も一緒だったのです。彼女も恋をした、歌を詠じた。


 それとなく紅き花みな友にゆづり
     そむきて泣きて忘れ草つむ



登美子は郷里にもどり、三十三年の暮れに結婚することになります。

だが、夫となった人は結核を病み、三十五年に亡くなってしまいました。
三十七年、登美子は東京に出て東京女子大英文科に入学することになります。
同時に、鉄幹、晶子、登美子のつきあいも再開します。

しかし、登美子は夫と同じ結核を発病し、明治四十二年四月、郷里の若狭で寂しく亡くなってしまいます。

  
   胸たたき死ねと苛む嘴ぶとの
       鉛の鳥ぞ空掩ひ来る



   後の世は猶今生だにも願わざる
       わがふところにさくら来て散る

                      登美子



登美子の死去に際して、晶子と鉄幹は挽歌を詠みます。

   すずしかる御瞳も見ゆうつぶして
       ぬれし頬も見ゆ前髪も見ゆ

                    寛

   背とわれと死にたる人と三人して
       甕の中に封じつること

                    晶子


晶子の中には、複雑な思いがあったのですね。“三人して甕の中に封じつること”とは・・・。
なにかせつなく哀しいのです。

その面影は、
       “すずしかる御瞳・・・
        うつぶしてぬれし頬・・・
        前髪も見ゆ・・・”
                 なのですね。

  
う〜ん、登美子という人は・・・、
その人生は・・・、どのような香りでつつまれていたのでしょうか。


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| 香りの冒険者 | 14:54 | comments(0) | - |
今日は稽古日



今日は稽古日。「聞香・みだれ髪」

小記録は、以下のとおり。

聞香
みだれ髪
与謝野晶子

一、証歌

やわ肌のあつき血汐にふれも見で
さびしからずや道を説く君

君かへらぬこの家ひと夜に寺とせよ
紅梅どもは根こじて放れ

わが上に残れる月日一瞬に
よし替えんとも君生きてこよ



二、香組      佐曾羅  寸門多羅   伽羅


三、聞法      香りに聞く 晶子の心


 激しくも情熱たぎる恋、

 夫の帰らぬ日には、家は“ひと夜に寺とせよ”、

 亡き夫よ、いまこのとき君が生きかえって会うことができるなら、
 人生のこれからの月日を失ってもいい、“君生きてこよ”

 香りは重く出ました。


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| 香道 | 19:43 | comments(0) | - |
聞香「みだれ髪」
つぼみ4画・晟聴


先日の向島百花園での、たまゆら「香の會」は、虫の音を聞きながら無事終りました。ご参加していただきました多くの方々に心より感謝申し上げます。
リンクしている「たまゆら[玉響]吉村ゆらの和の世界」も見ていただければ幸です。


今月の稽古は、歌人・与謝野晶子の人生を香りに聞きたいと思っています。
聞香「みだれ髪」です。


   やわ肌のあつき血汐にふれも見で
       さびしからずや道を説く君


平成12年10月には、与謝野晶子を主題に「夕月之香」をおこないました。

今回は、晶子の人生を彼女の和歌をたどりながら、香りにつつまれたいと考えました。

歌を23、詩1、随筆1、そして、石川啄木の日誌に見る晶子。
これを、仲間と語り合いながら聞香を楽しみます。


最初に、書きたいと思う事は自分がしたい事と共に無尽蔵である。
ただ自分には暇がない。なぜ人は眠らねばならないか、死んでから十分に眠ればよいではないかと、睡眠時間の惜しまれる事さえある」(与謝野晶子)


これが与謝野晶子の生き方のようだ。

1874年に大阪府堺市の駿河屋という和菓子商に生まれた晶子。
その人生を訪ねよう、歌によって、香りによって・・・。

     海こひし潮の遠鳴りかぞへつゝ
       少女となりし父母の家

                               晶子
 

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| 香道 | 21:06 | comments(2) | - |
聞香の楽しみ


今朝、散歩に出かけたとき出逢った“ねこ”くんです。

久しぶりに晴れ間が出そうな日曜日。
ふっと香木のことが頭をよぎりました。

この4日の火曜日には、たまゆら「香の會」が催されます。
資料の準備も、香木の準備も出来ました。主題は、「虫の音」です。



香りに聞いて、心の中で鳴く「虫の音」は、どんな声で鳴くのだろう。
 
主題の地唄「虫の音」は、恋しい面影を慕う話。「思いにや 焦がれてすだく 虫の声々小夜ふけて いとどさびしき野菊にひとり 道は白菊たどりてここに・・・逢うて戻れば一夜が千夜 逢わで戻ればまた千夜・・・」そして、「草茫々たる阿倍野の原に 虫の音ばかりや残るらん 虫の音ばかりや残るらん」

この地唄を、吉村ゆらさんが舞い、杉浦聡さんが演奏する。

香りも舞う。
舞う香りは心を美しく清めてくれる。

そうなんだ、「聞香」は心を洗い清める。
そのための「聞香」。

「こぼれるる涙の露」も、「とかく輪廻の拙なきこの身」も、舞う香りに清められ、美しい「虫の音」につつみこまれることだろう。




 
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| 香道 | 14:33 | comments(0) | - |
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