2019.05.23 Thursday
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昨日は虎ノ門にて香の会。主題は芭蕉。
あら海や 佐渡に横たふ あまの川
「むべ此嶋はこがねおほく出で、あまねく世の宝となれば、
限りなき目出度嶋にて侍るを、大罪朝敵のたぐひ、遠流せらるるによりて
ただおそろしき名の聞こえあるも、本意なき事におもひて、
窓押開きて暫時の旅愁をいたはらむとするほど、
日既に海に沈(しずん)で、月ほのくらく、銀河半天にかかりて、
星のきらきら冴たるに、沖のかたより、波の音しばしばはこびて、
腸(はらわた)ちぎれて、そぞろかなしびきたれば、
草の枕も定まらず、墨の袂なにゆへとなくて、しぼるばかりになむ侍る
そして、あの『奥の細道』でよく知られている句が、表記をかえ書き付けられる。
あら海や 佐渡に横たふ あまの川
そこには、沖のほうから、波の音が響いてきて、
袂をしぼるばかりに泣く芭蕉がいる」宗左近著『日本美 縄文の系譜』より
昨日は香に聞いて
なぜ、そんなにまで、泣くのか。下の句を付けてみました。
伽羅は、大自然の「あまの川」
佐曽羅は「しずかなる哀しみ」
寸門多羅は「号泣!」
そのような香りが立ち昇りました。
あら海や 佐渡に横たふ あまの川
人の世の 業を抱きて われ泣かむ
そこには、佐渡の海と空を心にいだきながら、宇宙の生命に流れ込み、人の世への愛を抱きしめ涙を流す芭蕉の姿が見えてきたのです。
行脚とはそんなことを感じさせてくれるものではないでしょうか。