終電車の時刻ですよ。
おきなきゃ、おこせるかな。
どうした。 酔っているのかい。
彼女も困っているのかな。
でも、二人じゃ、なにがあっても大丈夫。
夢でも見ているのかい。
かっては、俺の記憶が確かならば、俺の生活は宴であった、
誰の心も開き、酒という酒はことごとく流れ出た宴であった。
ある夜、俺は『美』を膝の上に坐らせた。
苦々しい奴だと思った。
俺は思いっきり毒づいてやった。
俺は正義に対して武装した」
それとも、
「森のはずれに、
夢の花、静かに鳴り、鳴り響き、
光り輝く、オレンジ色の唇をもった少女は、
草原を溢れ流れる澄んだ泉の水の中に膝を組み、
裸身を暈(くま)どり遮り包む虹の橋、花と海」
詩は、小林秀雄訳 ランボオ「地獄の季節」と「飾画」からです。
どのような夢を見ているの、この地下鉄への階段で。
苦しければ起きろ、楽しい夢を観ているのなら、そのままで。
彼の夢の香りにつながれればいいのに。