一定期間更新がないため広告を表示しています
JUGEMテーマ:日記・一般
来月の香の会、主題は『万葉集』。山上憶良の「子らを思う歌」は感動ものです。
瓜食(うりは)めば 子ども思ほゆ 栗食めば まして偲はゆ
いづくより来りしものそ まなかひに もとなかかりて 安眠(やすい)しなさぬ
反歌
銀(しろがね)も金(くがね)も玉も何せむに
優れる宝 子にしかめやも
JUGEMテーマ:日記・一般
昨日は、水の和香の会。主題は「良寛の愛」。香りはそれはそれは優しく薫りました。皆様、良寛のやさしさに癒されたご様子でした。
民謡「出雲崎おけさ」には次ぎのように歌われています。
(ヨシタ ヨシタ ヨシタナ)
おけさ踊りと 磯打つ波はヨ
・・・
越後出雲崎 良寛さまは
破れ衣に 鉄鉢持ちて
子ども集めて 毎日日々
手毬つくやら かくれんぼ(ソレ)
鬼にされても その身は仏
仏ごころに ソーレ 鬼はない
(ハア ヨシタ ヨシタ ヨシタナ)
今じゃ天下の 良寛さまもヨ
(ハア ヨシタ ヨシタ ヨシタナ)
昔や行脚の ソーレ 草枕
(ハア ヨシタ ヨシタ ヨシタナ)
・・・略
「岩室甚句」(新潟)にも
・・・
村のヤ 子どもと 良寛さまは
日暮れ忘れて あのかくれんぼ
・・・
多くの人に慕われた良寛さん。
昨日は虎ノ門にて香の会。主題は芭蕉。
あら海や 佐渡に横たふ あまの川
「むべ此嶋はこがねおほく出で、あまねく世の宝となれば、
限りなき目出度嶋にて侍るを、大罪朝敵のたぐひ、遠流せらるるによりて
ただおそろしき名の聞こえあるも、本意なき事におもひて、
窓押開きて暫時の旅愁をいたはらむとするほど、
日既に海に沈(しずん)で、月ほのくらく、銀河半天にかかりて、
星のきらきら冴たるに、沖のかたより、波の音しばしばはこびて、
腸(はらわた)ちぎれて、そぞろかなしびきたれば、
草の枕も定まらず、墨の袂なにゆへとなくて、しぼるばかりになむ侍る
そして、あの『奥の細道』でよく知られている句が、表記をかえ書き付けられる。
あら海や 佐渡に横たふ あまの川
そこには、沖のほうから、波の音が響いてきて、
袂をしぼるばかりに泣く芭蕉がいる」宗左近著『日本美 縄文の系譜』より
昨日は香に聞いて
なぜ、そんなにまで、泣くのか。下の句を付けてみました。
伽羅は、大自然の「あまの川」
佐曽羅は「しずかなる哀しみ」
寸門多羅は「号泣!」
そのような香りが立ち昇りました。
あら海や 佐渡に横たふ あまの川
人の世の 業を抱きて われ泣かむ
そこには、佐渡の海と空を心にいだきながら、宇宙の生命に流れ込み、人の世への愛を抱きしめ涙を流す芭蕉の姿が見えてきたのです。
行脚とはそんなことを感じさせてくれるものではないでしょうか。
いま、とても関心のある東山文化。
そこで造営された「会所」が、東山文化の起点になったようです。
そのことを、ドナルド・キーン著『足利義政 日本美の発見』で知ることができます。
ドナルド・キーン氏の講演をネットで読むことが出来ます。
「東山文化と現代の日本」ドナルド・キーン(東北大学文学部創立八十周年記念シンポジウム2002年10月26日)
昨夜は中秋の名月。
水の和の香遊び。
証歌は「名月を取ってくれろと泣く子かな」一茶
香りは六つ。香がみちびく様々な状況の月につつまれ、和やかなひとときを過ごさせていただきました。
帰宅してすぐにカメラを持ち出し「泣く子」のために月を撮ってみました。
何年か後、青山で「源氏物語」を主題に香の会を催した時の事。
香席が終わり、懇親の雑談に入ったとき、少し離れたところで、
「私は香道を広めていきたいのです」というお声がしました。
その声の方に近づきお話しようと思ったとき、
すっと立ち上がられ「澤田です」と挨拶されたのです。
そのとき、私の口から「ちぐささんですか?」と声が出てしまい、
その手を思わず握りしめていました。
長年、この『香道入門』の表紙を眺めて過ごしてきたのです。
なんということでしょう、その人が目の前におられるのです。
すこしお話をさせていただきました。
最後に「あなたのような若い人に香道を広めるように頑張ってもらいたい」と。
その時、わたくしにとって、はじめて、素晴らしい香元に出会ったのでした。
この本では、香元とは「香席の中心におり、手前をするひとである」とあります。